|
名陵詩想 綿毛のたんぽぽ
朝、自転車のペダルを繰る私の目にとびこんだ幻想的に広がる白い群落。
それは、おもいきり遠くへ飛ぼうと背筋をぐっと伸ばした綿毛のたんぽぽたちだった。
よく見ると、日ごとに成長する道端の草花のなかでも首一つ超えていた。
若い黄色たんぽぽと比べても一段とぬきんでている。
日をおいて、わが家の北庭のすこし遅咲きのたんぽぽで調べてみた。
4月14日、たんぽぽは黄色い花が咲きそろい、背たけは7センチから10センチ。
4日経って18日、いやあ、たんぽぽの背たけは17センチから19センチにも。綿毛が一つ咲いていた。
さらに4日経って22日、綿毛は満開だ。背たけはさらに伸びて、30センチをこえ35センチ!
たんぽぽは荒れ地をものともせず、黄色く力づよく咲き乱れる。
しかし、それで終わりにしないのだ。
もう一度、白い綿毛を咲かせ、しかも、風に吹かれ遠くまで飛べるように、二倍にも三倍にもさらに背を伸ばすのだ。
次の世代のため、次の時代に向けて。
コメント
60年余歩んだ自らの歴史を広くやわらかく振り返り、限られた残りの時間をより自分の体力知力にふさわしく、今の世界と日本に通じるように生きたいとの思いに駆られたからである。還暦とは暦が戻り、再び一から始まるという人間の知恵なのだ。
田中慶一郎(大12)
|
|